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近点移動と交点移動

(2021/05/05) 惑星や衛星の軌道は、三個以上の天体の重力により、常に変わります。軌道長半径(a)と離心率(ε)と軌道傾角(ι)は長期間同じ値で保たれますが、近点角(ω)と昇交点角(Ω)は一年間で数度から数十度変わるのも珍しくありません。特に衛星系の場合、公…

時間の単位、ミリ時

(2021/05/05) 宇宙空間で距離を表す単位として、光が単位時間当たりに進む距離を用います。恒星間を超える距離に対しては光年が使われます。これには距離を表すと同時に時間も含まれます。例えば、100光年先にある恒星の場合、現在見える姿が100年前のもので…

太陽系の領域 - 彗星の巣

(2021/05/04) 太陽系には「オールトの雲」という彗星の巣があります。実際のところ、何があるか分かっていません。長周期彗星の遠日点を統計的に集めたところ、太陽系の外周部に多数の彗星状天体があると見積もられています。 まず、近点距離(q)と離心率(ε)…

太陽系の領域 - 外縁天体

(2021/02/23) 太陽から4.17光時以上離れた領域にあるものを外縁天体と呼びます。カイパーベルト天体と言われますが、天体の名前に人名由来の名称を付けるのは恐れ多いので外縁天体と呼びます。この領域では水素とヘリウムを除く揮発性物質がすべて固体に…

太陽系の領域 - 巨大惑星

(2021/02/21) 木星と海王星の間は巨大惑星の領域になります。太陽からの距離で0.72光時(lh)から4.17光時までの間です。平衡温度は122ケルビン(K)から50ケルビンの間です。この温度領域になると、揮発性物質(水蒸気、二酸化炭素、アンモニア、…

太陽系の領域 - 小惑星帯

(2021/02/21) 火星軌道と木星軌道の間には小惑星帯があります。太陽からの距離が211ミリ光時(mlh)から721ミリ光時の間にあります。平衡温度では226ケルビン(K)以下、122ケルビン以上です。この領域にある小惑星は、主にC型・S型・M型に分けら…

太陽系の領域 - 岩石惑星

(2021/02/14) 太陽から221ミリ光時(mlh)、火星までの軌道になるのが岩石惑星領域です。この領域は平衡温度として226ケルビン(K)以上の温度があります。水の3重点である273.15ケルビンよりは低いですが、真空に近い状態では、226ケルビンでも…

太陽系の領域 - 太陽

(2021/02/13) 今回から太陽系の領域について書きます。太陽そのものも興味深い天体なのですが、直接、人類が到達することは不可能なので、人類が間接的に恩恵を受けている温度について書きます。 Gm: ギガメートル (giga metre): 106 km mlh: ミリ光時 (mill…

温度の単位、ケルビン(K)

(2021/02/13) 宇宙空間における温度の単位は、絶対零度を起点とするケルビン度のほうがよいでしょう。ケルビン度は、日常的に使われるセルシウス度に、273.15 を加えたものです。下記に、ケルビン度(K)とセルシウス度(°C)を使って、1気圧における各物質の凝…

自転軸と惑星間の相互作用

(2021/01/24) 土星の約27度傾いた自転軸、今も傾きを増し続けている可能性 | sorae 宇宙へのポータルサイト 惑星の自転軸の傾きを、惑星間の相互作用で解き明かす研究が発表されました。私は、金星の逆行自転も天王星の横転自転もジャイアントインパクトとい…

円錐曲線軌道の三次元図示

(2021/01/02) 楕円軌道だけでなく、すべての円錐曲線に対して、軌道図を説明します。ここでは放物線軌道を例にします。双曲線軌道も原則は同じです。放物線や双曲線は、曲線が閉じることがないので、軌道長半径(a)は存在しません。他の指標が必要です。円錐…

楕円軌道の三次元図示

(2021/01/02) 軌道図を描くと、より式の説明が伝えやすくなることがわかりました。今後は軌道図を積極的に描いていきたいと思います。ただ、天体が三個以上あると、すべての天体が同一平面上で軌道を通ることはありません。三次元の座標が必要になります。し…

円錐曲線軌道と極座標のまとめ

(2020/12/30) 極座標を使うことで、円錐曲線に含まれる正円、楕円、放物線、双曲線がすべて同じ軌道位置と軌道速度(v)の式で表せることがわかりました。そうなると、経過時間(t)と移動距離(l)も同じ式になると思われます。この記事で全ての式をまとめてみま…

三次元の円錐曲線軌道と軌道速度

(2020/12/27) いよいよ、正円、楕円、放物線、双曲線を含めたすべての円錐曲線の軌道速度ベクトルを三次元で表します。近点距離を q、離心率を ε、偏角を θ、近点距離を半径とする正円の軌道速度を V とすると次の式が成り立ちます。 正円(半径:q)の軌道速度…

二次元の円錐曲線軌道と軌道速度

(2020/12/27) 円錐曲線軌道は、正円も楕円も放物線も双曲線も全く同じ式で表せることが分かりました。軌道長半径を a、近点距離を q、離心率を ε、偏角を θ とすると次の式になります。唯一の違いは、分母が 0 や負数になれないので、放物線と双曲線のときは…

三次元の円錐曲線軌道と極座標

(2020/12/25) 円錐曲線が、正円も楕円も放物線も双曲線もすべての同じ極座標式で表せることから、三次元の座標も個別対応することなく統一的に表せます。 近点距離を q、離心率を ε、共通重心を (0,0,0)、近点座標を (q,0,0) としたとき、XY 平面上の円錐曲…

二次元の円錐曲線軌道と極座標

(2020/12/24) 正円、楕円、放物線、双曲線を総称して円錐曲線といいます。円錐を平面で切ったときの切り口が、左で示した四つの曲線のうちどれかになります。底面と並行に切ると、正円、側面と並行に切ると放物線になります。それ以外で、閉じた曲線になるの…

二次元の双曲線軌道と極座標

(2020/12/24) 前回、放物線を極座標で表したのに続いて、双曲線も極座標で表します。近点距離を q、離心率を ε、共通重心を (0, 0) として、空焦点を X 軸上に置くと次のような式になります。 共通重心: 空焦点: 軌道: 空焦点座標に分数が含まれるのは扱いづ…

二次元の放物線軌道と極座標

(2020/12/24) 極座標を使うことで楕円軌道における位置、速度、速度ベクトル、経過時間、移動距離がすべて、偏角(θ)によって表せたので、放物線も極座標を扱うことにします。 X Y 0 q 2q (x,y) θ まず、天体の軌道における放物線を軽くおさらいします。共通…

楕円軌道と三次元座標のまとめ

(2020/12/20) X Y (0,0,0) Ω ω θ (x,y,z) (-2aε(cos ω cos Ω-sin ω sin Ω cos ι) ,-2aε(cos ω sin Ω-sin ω cos Ω cos ι) ,-2aε sin ω sin ι) 前回*1、軌道位置、経過時間、軌道速度、軌道速度ベクトル、移動距離を求めました。このなかで、軌道位置と軌道速…

楕円軌道と二次元座標のまとめ

(2020/12/20) 楕円軌道の諸要素を極座標を使って求めてきました。すべての要素が偏角(θ)によって統一的に求まったので、今回の記事でまとめてみます。楕円は二つの焦点をもちます。片方の焦点から出た光は楕円曲線に反射してもう片方の焦点に届きます。また…

楕円軌道と移動距離

(2020/12/19) X Y (0,0) (-2aε, 0) (x, y) θ 前回、軌道速度(v)を導き出したので、今回は、移動距離(l)を導き出してみます。なお、軌道長半径を a、離心率を ε、公転周期を P としています。 軌道速度*1: 軌道速度(v)は本来時間(t)による変移なのですが、上…

楕円軌道と軌道速度

(2020/12/18) X Y (0,0) (-2aε, 0) (x, y) θ 楕円軌道上の天体の位置を極座標形式で表し、それを楕円軌道の式に代入して距離(r)を求めます。距離(r)は軌道長半径(a)と離心率(ε)と傾角(θ)で表されます。 位置: 楕円軌道: 距離*1: 前回求めた進行方向ベクトル…

楕円軌道と進行方向ベクトル

(2020/12/18) 天体の軌道速度を求める前準備として、楕円軌道上にある天体の進行方向ベクトルを求めます。二次元で導き出します。軌道長半径を a、離心率を ε とします。 中心座標 、焦点座標 のとき、 楕円軌道: X Y (0,0) (-2aε, 0) (x, y) θ 楕円の特徴と…

楕円軌道と時空座標

(2020/12/18) X Y (0,0,0) Ω ω θ (x,y,z) (-2aε(cos ω cos Ω-sin ω sin Ω cos ι) ,-2aε(cos ω sin Ω-sin ω cos Ω cos ι ,-2aε sin ω sin ι) 前回の記事*1で楕円軌道上の経過時間が導き出せたので、天体の位置を特定するための時間と空間が全てそろいました。…

楕円軌道と経過時間

(2020/12/18) X Y (0,0) (-2aε, 0) (x, y) θ 天体の位置を決めるには、空間情報だけでは不十分で、経過時間(t)を組み込む必要があります。前回の記事で求めた角速度(Δθ)の式から経過時間(t)と偏角(θ)との関係を求めます。なお、ε は離心率で、P は公転周期で…

楕円軌道とケプラーの法則

(2020/12/18) 公転周期を計算するには、ニュートンの万有引力の法則から演繹的に導き出す必要があります。しかし、ブログでゼロから計算をするのは手間が掛かります。先人の知恵として、『ケプラーの法則』を用いて、公転周期を相対的に計算するほうがわかり…

惑星間移動 - 惑星までの所要時間

(2020/10/17) 前回、重力加速度 g で 1ミリ光速まで加速する時間が 8.51461時間、その間に移動する距離が 4.59468 Gm と計算できました。したがって、惑星までの距離を L とすると、所要時間 T は下記の式で表せます。 しかし、その前に変数段階で式を変形す…

惑星間移動 - ミリ光速まで加速する時間と距離

(2020/10/17) 現在の探査機技術で有人惑星間移動をするのは困難で、健康的に移動する時間、復路の移動手段、どちらも解決していません。他にも放射線対策とかありますが、これは素材の技術革新によって何とかなるとして、物理的に問題なのは、どのように加速…

惑星間移動 - 等加速度運動

(2020/10/16) 等加速度運動を説明するために、地球の重力加速度で等加速度運動を行うと、どのぐらいの時間でどこまで移動できるか計算してみます。 計算に用いた式です。 g: 地球の重力加速度: 9.78033 m/s2 速度: 距離: 表の単位を説明します。 s: 秒, h: …