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楕円軌道と経過時間

(2020/12/18)
X Y (0,0) (-2aε, 0) (x, y) θ

 天体の位置を決めるには、空間情報だけでは不十分で、経過時間(t)を組み込む必要があります。前回の記事で求めた角速度(Δθ)の式から経過時間(t)と偏角(θ)との関係を求めます。なお、ε は離心率で、P は公転周期です。

  • 角速度*1: \Delta\theta=\frac{2\pi(1+\varepsilon\cos\theta)^2}{P(1-\varepsilon^2)^\frac{3}{2}}=\frac{d\theta}{dt}

 上記の式から、微小角度(dθ)を右辺に、微小時間(dt)を左辺に移して、式を整えます。

  • dt=\frac{P(1-\varepsilon^2)^{\frac{3}{2}}}{2\pi(1+\varepsilon\cos\theta)^2}d\theta

 不定積分により偏角(θ)と経過時間(t)の関係が表せます。

  • t=\frac{P}{2\pi}(1-\varepsilon^2)^{\frac{3}{2}}\int\frac{1}{(1+\varepsilon\cos\theta)^2}d\theta

 上記の式は楕円積分に似ているので、解析学的に不定積分を解くのはあきらめて、区分求積法で値を求めます。区分幅は 0.001°です。公転周期(P)を 1 としたときに、離心率(ε)ごとに、近点からの偏角(θ)と経過時間(t)の関係を表にまとめます。

X Y

↓θ\ε→ 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8
0.0000 0.0000 0.0000 0.0000 0.0000
15° 0.0417 0.0273 0.0165 0.0084 0.0028
30° 0.0833 0.0553 0.0336 0.0173 0.0058
45° 0.1250 0.0845 0.0521 0.0271 0.0092
60° 0.1667 0.1157 0.0729 0.0386 0.0133
75° 0.2083 0.1495 0.0971 0.0527 0.0186
90° 0.2500 0.1868 0.1262 0.0712 0.0260
105° 0.2917 0.2281 0.1620 0.0965 0.0374
120° 0.3333 0.2741 0.2068 0.1327 0.0564
135° 0.3750 0.3249 0.2629 0.1860 0.0913
150° 0.4167 0.3802 0.3317 0.2639 0.1601
165° 0.4583 0.4391 0.4122 0.3710 0.2933
180° 0.5000 0.5000 0.5000 0.5000 0.5000

 離心率(ε)が 0 のときは、正円であり、等角速度運動になり、偏角(θ)と経過時間(t)が正比例します。離心率(ε)が大きくなると、90° までは早く進みますが、90° を過ぎてから徐々に遅くなり、楕円を半周した 180° のときは、離心率(ε)が何であれ、経過時間(t)は 0.5 になります。