二次元の円錐曲線軌道と軌道速度
(2020/12/27)
円錐曲線軌道は、正円も楕円も放物線も双曲線も全く同じ式で表せることが分かりました。軌道長半径を a、近点距離を q、離心率を ε、偏角を θ とすると次の式になります。唯一の違いは、分母が 0 や負数になれないので、放物線と双曲線のときは、偏角(θ)の範囲に制約があることです。
- 近点距離:
- 軌道位置:
そうなると、当然、軌道速度も楕円軌道の式をそのまま使えるという考えが浮んできます。
- 軌道速度ベクトル:
ベクトルからスカラーを除いた部分は、円錐曲線の定義からそのまま使えます。これは、二つの焦点に向けたベクトルの交差角を二等分にする線が円錐曲線の法線ベクトルになり、それに対して 90° もしくは 270° 回転させたものが、進行方向ベクトル(接線)*1になるという共通の性質があるからです。
ところが、スカラーの部分は分母に「1 - ε」があり、これがある限り特異点ができてしまい、使えません。しかも、放物線と双曲線には実体としての軌道長半径(a)も公転周期(P)も存在しません。これらの要素を式から除く必要があります。ここで「ケプラーの第三法則」の出番です。公転周期(P)の二乗は軌道長半径(a)の三乗に比例します。近点距離(q)を半径とする正円の軌道速度を V、公転周期を Pq とすると、次の関係が成り立ちます。
「ケプラーの第三法則」で次の関係が成り立ちます。
Pq と軌道長半径(a)を消し去ります。
この式を軌道速度ベクトルのスカラーの部分に当てはめて、公転周期(T)を式から消します。
これで、放物線、双曲線で実体のない軌道長半径(a)と公転周期(T)を消し去ることができ、なおかつ、分母の特異点(1-ε)もなくなりました。
- 軌道速度ベクトル:
近点距離(q) とそれを半径とした正円の軌道速度(V)が分かれば、すべての円錐曲線軌道の軌道速度が分かります。