楕円軌道と三次元座標のまとめ
(2020/12/20)
前回*1、軌道位置、経過時間、軌道速度、軌道速度ベクトル、移動距離を求めました。このなかで、軌道位置と軌道速度ベクトルは三次元の指標で表す必要があります。前提として軌道長半径を a、離心率を ε、公転周期をP で表します。
軌道位置
近点引数(ω)、軌道傾角(ι)、昇交点角(Ω)がすべて 0 のとき、三次元の点(x,y,z) は次のように表されます。
近点引数(ω)が 0 以外のとき、本来なら回転行列を使いますが、近点引数(ω)による回転は、同一平面上で同一原点の回転なので、単純に偏角(θ)に近点引数(ω)を加えた式で表せます。ここで、注意が必要なのは、距離(r)に含まれる偏角(θ)は回転対象外だということです。
軌道傾角(ι)と昇交点角(Ω)が 0 以外のときは三次元回転行列を使って計算します。
軌道速度
近点引数(ω)、軌道傾角(ι)、昇交点角(Ω)がすべて 0 のとき、三次元の速度(Δx,Δy,Δz) は次のように表されます。
近点引数(ω)が 0 以外のときは、XY平面上で回転させます。
一旦複雑になりましたが、部分的に三角関数の加法定理が当てはまるので、下記の式で簡潔に表せます。
軌道傾角(ι)と昇交点角(Ω)が 0 以外のときは三次元回転行列を使って計算します。軌道位置と同じ計算になるので、結果だけを示します。
離心率(ε)が係数になる部分は定数項になります。覚える必要はないと思いますが、参考のため計算結果を示します。
公転軸
最後に公転軸を示します。二次元のときは、公転軸は z 軸そのものなので、特に明示する必要はありません。三次元のときは、各楕円軌道の交差角を求めるときに便利です。公転軸は、z 軸の単位ベクトル (0,0,1) を軌道傾角(ι)と昇交点角(Ω)で回転させることで求めます。