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2020-01-01から1年間の記事一覧

楕円軌道とケプラーの法則

(2020/12/18) 公転周期を計算するには、ニュートンの万有引力の法則から演繹的に導き出す必要があります。しかし、ブログでゼロから計算をするのは手間が掛かります。先人の知恵として、『ケプラーの法則』を用いて、公転周期を相対的に計算するほうがわかり…

惑星間移動 - 惑星までの所要時間

(2020/10/17) 前回、重力加速度 g で 1ミリ光速まで加速する時間が 8.51461時間、その間に移動する距離が 4.59468 Gm と計算できました。したがって、惑星までの距離を L とすると、所要時間 T は下記の式で表せます。 しかし、その前に変数段階で式を変形す…

惑星間移動 - ミリ光速まで加速する時間と距離

(2020/10/17) 現在の探査機技術で有人惑星間移動をするのは困難で、健康的に移動する時間、復路の移動手段、どちらも解決していません。他にも放射線対策とかありますが、これは素材の技術革新によって何とかなるとして、物理的に問題なのは、どのように加速…

惑星間移動 - 等加速度運動

(2020/10/16) 等加速度運動を説明するために、地球の重力加速度で等加速度運動を行うと、どのぐらいの時間でどこまで移動できるか計算してみます。 計算に用いた式です。 g: 地球の重力加速度: 9.78033 m/s2 速度: 距離: 表の単位を説明します。 s: 秒, h: …

加速度の単位

(2020/10/18) 加速度の単位は、m/s2 ですが、「(長さ)÷(時間)2」と見なすと戸惑いますが、「{(長さ)÷(時間)}÷(時間)=(速度)÷(時間)」と見なすと意味をとらえやすくなります。速度は相対的なものであり、秒速でも時速でも光速比でも値は異なっても、同じ速度…

公転軸ベクトルと三次元楕円軌道

(2020/10/12) 今までは公転軸ベクトルを昇交点角(Ω)・軌道傾角(ι) の三次元回転行列から求めました。 他にも三次元楕円軌道の極座標式から直接求める方法もあります。 スカラー の部分はベクトルとしては重要でないので省きます。 のとき のとき 両者の外積…

惑星の公転軸ベクトルと惑星間の軌道傾角

(2020/10/11) 軌道傾角は主に地球を基準にして計測されますが、たまたま観測者が地球上にいるから地球が 0° になっているだけで、地球が 0° である必然性はありません。多くの場合、軌道傾角を支配するのは、主星の赤道面か、伴星の中で最も質量の大きい天体…

惑星の公転軸ベクトルと軌道面

(2020/10/11) 前回*1、昇交点角を Ω、軌道傾角を ι としたときの公転軸ベクトルを求めました。この公転軸ベクトルを法線ベクトルとして、法線ベクトルと直交し、原点を通るベクトルの集合が公転軌道面となります。すなわち、法線ベクトルと内積がゼロになる…

惑星の公転軸ベクトル

(2020/10/11) 惑星の公転を独楽に例えると軌道面は独楽の胴となり、公転軸は独楽の軸となります。公転軸の式を求めます。軌道面が XY平面のとき、公転軸ベクトルは (0, 0, z) となります。公転軸の場合、ベクトルの長さは意味を持たないので、今後の扱いやす…

惑星の軌道要素と火星の大接近

(2020/10/10) 惑星の軌道要素を紹介します。 Gm: ギガメートル (giga metre): 106 km mlh: ミリ光時 (milli light hour): 1.0792528488×106 km 軌道長半径: Gm (mlh) 離心率 近点角 軌道傾角 昇交点角 a ε ω + Ω i Ω 水星 57.909 (53.657) 0.25064 77.7518° …

角度の単位、度(°)

(2020/10/08) 角度の単位は度(°)とします。少数点以下の数値は、分や秒を使わずに十進数で表します。この記事では惑星から見た太陽の視直径を紹介します。視力1.0の人が大きさを認められるのは 0.017°以上になります。軌道長半径 a, 太陽半径 r とすると視直…

三次元の楕円軌道と極座標

(2020/10/08) 軌道長半径 a、離心率 ε、 共有重心座標 (0, 0, 0)、近点引数 ω としたとき、XY平面上にある楕円軌道は下記の式で表されます*1。 この軌道に対して、軌道傾角 ι、昇交点角 Ω の回転行列で座標変換を行うと、三次元の楕円軌道が求まります。 ω=0…

二次元の楕円軌道と極座標

(2020/10/08) 軌道長半径 a、離心率 ε、 共有重心座標 (0, 0)、空焦点座標 (-2aε, 0) としたとき、二次元の楕円軌道は下記の方程式で表されます。 X Y (0,0) (-2aε, 0) (x, y) θ これを共有重心座標を中心とした極座標で表します。 上記に、 を当てはめます…

太陽を揺り動かす惑星

(2020/10/04) 太陽系の質量の99.87%*1は太陽に集まっています。したがって、他の連星系と違い、太陽を公転する天体で、複雑な軌道を考える必要はありません。楕円軌道で近似でき、多少の摂動はあっても、40億年以上も定まった起動を保つことができました。し…

速さの単位、光速 (celeritas)

(2020/10/04) 速さの単位は迷うことはないでしょう。光速です。それに SI接頭辞*1をつけて表します。光速を超える速度は存在しないので、最高速度が 1光速(1 c, 1 celeritas)です。celeritas はラテン語で速度という意味です。したがって、SI接頭辞はすべて1…

時間の単位、秒、時、年

(2020/10/03) 時間の単位は、10進数に従っておらず、秒分時日週月年の相互変換は複雑です。中には、変換のために、整数でなく少数部分まで必要になります。 秒 分 時 日 週 月 年 1秒 1 1分 60 1 1時 3,600 60 1 1日 86,400 1,440 24 1 1週 604,800 10,080 1…

エクサトン級天体

(2020/10/03) 1 Et (エクサトン)とは、1018 t かつ 1024 g のことです。エクサトン級天体とは 1 Et 前後の質量を持つ天体のことです。エクサトン級天体は自己重力で球状になれる下限の天体になります。Haumea(ハウメア)、Makemake(マケマケ)、Ceres(ケレス)…

ゼタトン級天体

(2020/10/03) 1 Zt (ゼタトン)とは、1021 t かつ 1027 g のことです。ゼタトン級天体とは 1 Zt 前後の質量を持つ天体のことです。太陽系では、岩石惑星とガリレオ衛星、月、Titan(タイタン)が当てはまります。岩石惑星は、水星、金星、地球、火星のことで、…

ヨタトン級天体

(2020/10/03) 1 Yt(ヨタトン)とは、1024 t かつ 1030 g のことです。ヨタトン級天体とは、1 Yt 前後の質量を持つ天体のことです。太陽系ではちょうど、木星や土星などの巨大ガス惑星が該当します。太陽そのものは、さらに巨大ガス惑星の1000倍の質量を持ちま…

質量の単位、トン (tonne)

(2020/10/02) 質量には、光速のような絶対的な指標はありません。光速が距離において重要なのは通信の速度です。1光時(1.08 Tm, 10.8億 km)離れた場所と通信をする場合、往復2時間かかります。この遅延は絶対的で、いかなる物理法則もこの遅延を短くすること…

太陽系の天体、大きさ順と比較

(2020/10/20) 今回は、黒丸記号「●」の大きさをスタイルシートで変えて、お遊び感覚で天体の大きさを比べます。 Mm: メガメートル (mega metre): 103 km μlh: マイクロ光時 (micro light hour): 1.0792528488×103 km 天体 種別 直径: Mm (μlh) 大きさ比較 1 …

マイクロ光時級距離

(2020/10/02) マイクロ光時とは、光が1マイクロ時(3.6ミリ秒)に移動する距離で、約1 Mm (1,000 km)になります。このぐらいの距離になると、地球上でも実感できる距離になります。天体内で移動するときに使われます。下表は、太陽系にある球状天体を直径順に…

ミリ光時級距離

(2020/10/01) 1ミリ光時とは光が10-3時間(3.6秒間)に進む距離で、約1.08 Gm (108万 km) です。太陽系でミリ光時級距離が必要になるのは衛星間航路のときです。下表は中心星からの平均距離をミリ光時順に並べています。 Gm: ギガメートル (giga metre): 106 k…

光時級距離

(2020/09/30) 1光時とは光が1時間に進む距離で、約1.08 Tm (10.8億 km) になります。太陽系で光時級距離が必要になるのは惑星間航路のときです。下表は太陽からの平均距離を光時順に並べています。 Tm: テラメートル (tera metre): 109 km lh: 光時 (light h…

長さの単位、光時 (light hour)

(2020/09/29) 宇宙を語るには光速を無視することはできません。光速と関連づけた長さの単位には、光が 1年間で進む長さとして光年が使われています。他には、光が 1秒間で進む長さとして光秒というものもあります。このブログでは、メートル法と親和性が高い…

太陽系にある球状天体の一覧

(2020/09/28) 球状天体とは、自己の重力により球状になった天体のことです。正確には、自転による遠心力があるので、回転楕円体になります。ただ用語としては長いので球状天体と呼ぶことにします。 実は球状天体になるのは簡単なことではなく、太陽系では、…

光秒から光時へ

(2020/09/28) ご無沙汰しています。当初、このブログは、光秒を基準として、宇宙の大きさを実感できるような資料を提供していく趣旨でしたが、メートル法と大きく異なる数字を前面に出すのは、純粋に宇宙の数値を覚えるには、不利になります。ただし、光速と…

(書庫) 300キロメートルは1ミリ光秒か1メガフィートか

(2020/10/03) 更新記事: 光秒から光時へ - AstroZone 以下旧記事

(書庫) 二次元の放物線軌道

(2020/12/24) 関連記事: 二次元の放物線軌道と極座標 - AstroZone (2020/03/08) 楕円軌道でも双曲線軌道でもないときは、離心率 となり、放物線軌道になりますが、空焦点が無限遠方になり、楕円や双曲線のように二つの焦点からの和や差によって軌道を定める…

(書庫) 三次元の双曲線軌道

(2020/12/27) 関連記事: 三次元の円錐曲線軌道と極座標 - AstroZone (2020/03/07) 前回、「二次元の双曲線軌道*1」を扱いました。空間には x軸と y軸だけでなく z軸もあるので、三次元で表す必要があります。双曲線は閉じていないので軌道長半径はありません…