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時間の単位、ミリ時

(2021/05/05)

 宇宙空間で距離を表す単位として、光が単位時間当たりに進む距離を用います。恒星間を超える距離に対しては光年が使われます。これには距離を表すと同時に時間も含まれます。例えば、100光年先にある恒星の場合、現在見える姿が100年前のものであるという意味を含みます。これはどんなに近距離でも当てはまり、例えば、現在見ている太陽の姿は500秒前のものです。したがって、太陽までの距離は500光秒ということもできます。
 このように距離を光が進む時間で表すことは合理的なのですが、問題はメートルとの数値がかけ離れていることです。これは仕方のないことで、メートルを定めた時代には光の速度が有限であるという発想はありません。まして、どの物体もその速度を超えられないことも知られていません。
 ここで、主な時間単位と光の移動距離との関係を掲げます。

  • 年: 9.4607304725808×1015 = 9.4607304725808 Pm
  • 時: 1.0792528488 × 1012 = 1.0792528488 Tm
  • 秒: 299.792458 × 106 = 299.792458 Mm

 この中で、メートルの十の累乗倍と10%以内の差に収まるのは、「年」と「時」です。ただ「年」は日常の時間単位としても長すぎて、0.0001年後に待ち合わせといっても、それが約1時間後であるという発想に至りません。従って、時間単位と光の移動距離を結び付けるのは「時」のほうがより身近な単位になります。
 ところが、「時」でも、人間の感覚と比べて長すぎて、一部の例外的な人を除き、機械に頼らずに1時間を正確に言い当てることはできないでしょう。一方、「秒」のほうは、人間の平均的な脈拍である60~90の間隔に近く、訓練を積むことで誰でも正確に長さを感じ取ることができます。例えば、秒速の場合、1秒間を感じ取ることができるので、その間に進んだ距離を思い浮かべて、速度を感じ取ることができます。新幹線の速度を表す場合、時速360km よりも、秒速100m のほうが体感的にわかります。
 しかし、毎回3600で割るのは面倒です。ここで、3.6秒を「1ミリ時(mh)」とします。これは、脈拍が約67回の人が4回脈を打ち、脈拍が約83回の人が5回脈を打つ時間です。これであれば、体感的に感じ取ることが可能です。ミリ時速360m(360m/mh)であれば、脈を4回打つあいだに、360m進む速度です。

  • 地球の半径: 6.378137 Mm (5.909771 μlh)
  • 地球の脱出速度: 40.284 km/mh (37.326 nlh/mh = 37.326 μc)*1
  • 地球の重力加速度: 126.753 m/mh2 (117.445 nc/mh)*2

 例えば、重力加速度は、3.6秒間に、ミリ時速126.753 m が増します。