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惑星間移動 - ミリ光速まで加速する時間と距離

(2020/10/17)

 現在の探査機技術で有人惑星間移動をするのは困難で、健康的に移動する時間、復路の移動手段、どちらも解決していません。他にも放射線対策とかありますが、これは素材の技術革新によって何とかなるとして、物理的に問題なのは、どのように加速するかです。
 地球上の移動手段というのは、地表という絶対不動*1の接地面に対する作用反作用で実現できますし、エネルギー源も電気で継続補給出来たり、化石燃料で小分けに補給できます。飛行機も船も、直接的な接触媒体は空気と水ですが、それさえも間接的に地表や海底という絶対不動の接地面に対する作用反作用で実現しています。
 ところが、宇宙空間には絶対不動の接地面がありません。宇宙空間で自力移動をするのは非常に困難なのです。自分が移動するためには、自分から何かを捨てるという作用を行わないと、その反作用で自分は動きません。しかも捨てるものを移動中に補給することはできません。捨てるものがなくなれば、宇宙空間に漂うしかありません。
 難しいことを書きましたが、これらの技術が解決したとして、具体的に移動方法を考えます。宇宙船は、地球の重力加速度 g で一定速度まで加速し、その後は等速運動を行い、等速運動中は船内を回転させて人口重力を作り、目的地近くで、g で減速します。
 その一定速度には、現在の探査機の 0.1ミリ光速 (100 Mm/h) では不足で、1ミリ光速 (1 Gm/h) ぐらいは必要です。 1ミリ光速まで加速するときの時間と、その時間で宇宙船が移動する距離を計算します。

  • 速度:  v = gt
  • 距離:  l = \frac{1}{2}gt^2
  • s: 秒, h: 時, m: メートル (metre)
  • T: テラ (tera): 1012, G: ギガ (giga): 109, M: メガ (mega): 106
  • c: 光速 (celeritas): 1.0792528488 Tm/h, 299.792458 Mm/s
    • mc: ミリ光速 (milli celeritas): 1.0792528488 Gm/h
    • nc: ナノ光速 (nano light celeritas): 1.0792528488 km/h
  •  g = 9.78033 \,\mathrm{m/s^2} = 35.2092 \,\mathrm{km/h/s} = 32.6237 \,\mathrm{nc/s}
  •  v = gt = 32.6237 \,\mathrm{nc/s} \times t = 1 \,\mathrm{mc}
  •  t = \frac{1 \,\mathrm{mc}}{32.6237 \,\mathrm{nc/s}} = 30,652.5 \,\mathrm{s} = 8.51461 \,\mathrm{h}
  •  l = \frac{1}{2}gt^2 = 9.78033 \,\mathrm{m/s^2} \times (30,652.5 \,\mathrm{s})^2 \div 2 = 4.59468 \,\mathrm{Gm}

 出発後に 8.51461時間、地球の重力加速度 9.78033 m/s2 で加速し、4.59468 Gm 移動したあとに、1ミリ光速 (1.0792528488 Gm/h) で等速運動を行い、到着前には、4.59468 Gm 手前で、出発時と同じ時間を掛けて、重力加速度で減速を行います。実際には太陽重力が働き等速運動ができないのですが、近似的に移動時間を見積もることができます。

(2021/02/05)

 光速を lv (light velocity) から c (celeritas) に変えました。

*1:移動物に対して地球の質量は20桁も大きいので、実質上、地表は絶対不動になります。