楕円軌道と二次元座標のまとめ
(2020/12/20)
楕円軌道の諸要素を極座標を使って求めてきました。すべての要素が偏角(θ)によって統一的に求まったので、今回の記事でまとめてみます。楕円は二つの焦点をもちます。片方の焦点から出た光は楕円曲線に反射してもう片方の焦点に届きます。また、その光が描く軌跡の長さは必ず軌道長半径(a)の二倍になります。実際の楕円軌道は三次元にまたがっていますが、形状そのものを決めるのは二次元で十分なので、最初は二次元で説明を進めます。
軌道位置
軌道長半径を a、離心率を ε、焦点の片方を原点 (0, 0)、もう一方を (-2aε, 0) とすると楕円上の点 (x, y) は次の式で表せます。
- 楕円軌道:
点 (x, y) は原点からの距離(r)と偏角(θ)で表すことができます。
(x,y) を楕円軌道の式に代入すると、距離(r)も偏角(θ)の関数として表せます。
- 距離:
したがって、天体の位置 (x,y) も偏角(θ)の関数になります。
- 位置:
経過時間
軌道長半径(a)と軌道短半径(b)と離心率(ε)との間には、下記に示す三平方の定理が成り立ちます。
面積速度(ΔS) は、軌道長半径(a)と軌道短半径(b)と公転周期(P)を用いて表せます。また、ケプラーの第二法則により面積速度(ΔS)は同一楕円軌道上では定数になります。
- 面積速度:
面積速度が一定ということは、点が原点に近いほど、角速度(Δθ)は時間当たりの増分が速くなり、遠いほど遅くなります。それは距離の二乗に反比例します。微小区画では、面積速度(ΔS)は、高さが r、底辺が rΔθ の二等辺三角形と見なせます。
- 角速度:
角速度(Δθ)は微小時間(dt)に対する微小角度(dθ)を表したものなので、下記の関係が成り立ちます。
経過時間(t) は微小時間(dt)を偏角(θ)に対して積分した値になります。
- 経過時間:
軌道速度
楕円上の点(x,y)から、それぞれの焦点(0,0)、(-2ae,0)に伸ばした二つのベクトル n0 と n1 を定義し、その交差角を二等分したものが、楕円の法線ベクトル(n2)になります。
法線ベクトルは単位ベクトルとして管理したほうが扱いやすいので、単位ベクトル(N2)にします。(なお、楕円の法線ベクトルは、偏微分を使った公式があるようですが、離心率(ε)や極座標と関連付けるのが面倒なので、幾何学的に導き出すことにしました。)
- 法線単位ベクトル:
ここで求めた法線ベクトル(N2)は楕円の閉じた内部を向いています。このベクトルを時計回りに90°、すなわち、反時計回りに270°回転させたものが、進行方向ベクトル(V)になります。
- 進行方向ベクトル:
進行方向ベクトル(V)に軌道速度(v)を掛けて、原点方向ベクトル(n0)に囲まれた三角形が面積速度(ΔS)に一致します。
- 軌道速度:
- 軌道速度ベクトル: