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(書庫) 二次元の楕円軌道

(2020/10/08)

(2020/02/02)

 前回*1、前々回*2の記事より、太陽系では、系内の質量の 99.87% を太陽が独り占めし、系内最大の惑星である木星でさえ太陽を 41.54ft/s*3(12.45m/s) 揺り動かすに過ぎません。この条件により、太陽を回る惑星、準惑星小惑星はほぼ楕円軌道と見なせる軌道を描いています。太陽と惑星を 1個取り出したときは、両者は同一平面上にあり、2次元の曲線で表せます。
 楕円の中心を原点、楕円の長半径を x軸、短半径を y軸としたとき、長半径を a、離心率を e とすると次の式で表せます。

  • \frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{a^2(1-e^2)}=1

 しかし、これはそんなに汎用性の高い式ではありません。楕円の焦点は2個ありますが、天体の軌道の場合、片方が共通重心で、もう一方が空焦点になります。共通重心は中心星とほぼ一致するので、楕円の中心を原点にするよりも、共通重心を原点(0, 0) とすべきでしょう。近点を長半径の正の方向に、遠点を長半径の負の方向に置くと、空焦点は (-2ae, 0) となります。
 そして楕円の大きな特徴は、楕円軌道のどの点からも、共通重心(≒中心星)と空焦点の距離を足すと長半径の2倍と同じになることです。次のように表せます。

  •  \sqrt{x^2+y^2}+\sqrt{(x+2ae)^2+y^2}=2a

 この式は汎用性が高く、長半径と短半径が x, y 軸と一致しなくても、空焦点座標を動かすだけで楕円軌道を表せます。例えば、近点引数がωのとき、空焦点座標は次の位置に動きます。

  •  \left(\begin{array}{rr} \cos ω & -\sin ω \\ \sin ω & \cos ω \end{array}\right)\left(\begin{array}{r} -2ae \\ 0 \end{array}\right) = \left(\begin{array}{r} -2ae \cos ω \\ - 2ae \sin ω \end{array}\right)

 これを先ほどの楕円軌道と置き換えると次のようになります。

  •  \sqrt{x^2+y^2}+\sqrt{(x+2ae \cos ω)^2+(y+2ae \sin ω)^2}=2a

 この式は z座標を加えることで、3次元でも同様に扱うことができます。