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(書庫) 太陽を揺り動かす惑星

(2020/10/03)

(2020/02/05)

 前回の記事*1で、太陽系の質量の99.87%は太陽に集まっていると述べました。したがって、系内にある惑星は、他の連星系と違い、複雑な起動を考える必要はありません。楕円軌道で近似でき、多少の摂動はあっても、40億年以上も定まった起動を保つことができました。しかしながら、惑星の質量はゼロではないので、太陽も惑星に揺り動かされています。どのぐらい揺り動かされているか、紹介します。

  • kls: キロ光秒(kilo light second): 約3億km, 約2天文単位
  • Ms: メガ秒(Mega second): 約11.57日、約0.0316年
  • Zt: ゼタトン(zetta tonne): 1021t, 1027g
  • mls: ミリ光秒(milli light second): 約300km
  • ft/s: フィート毎秒(feet per second): 1nlv、約0.3m/s
天体 距離 kls 周期 Ms (年) 質量 Zt 半径 mls 揺れ ft/s (m/s)
太陽 - - 1,989.100 2,319.94 -
天体 距離 kls 周期 Ms (年) 質量 Zt 重心 mls 揺れ ft/s (m/s)
水星 0.19316 7.60 (0.24) 0.3302 0.03 0.027 (0.008)
金星 0.36095 19.41 (0.62) 4.8685 0.88 0.286 (0.086)
地球 0.49900 31.56 (1.00) 5.9736 1.50 0.298 (0.089)
火星 0.76032 59.36 (1.88) 0.6419 0.25 0.026 (0.008)
木星 2.59612 374.32 (11.86) 1,898.1 2,475.03 41.545 (12.455)
土星 4.76795 931.96 (29.53) 568.3 1,361.89 9.182 (2.753)
天王星 9.59010 2,658.82 (84.25) 86.8 418.51 0.989 (0.296)
海王星 10.02523 5,214.16 (165.23) 102.4 773.54 0.932 (0.279)

 惑星のなかで、太陽との共通重心が最も太陽の中心から離れているのは、木星です。その長さは、2,475mls でこれは太陽半径 2,319mls よりも長くなっています。したがって、太陽は木星との共通重心を 374Ms(11.86年) の周期で回っているともいえます。他の巨大惑星は、419mls から 1362mls の間で、これは太陽半径以下の値です。一方、岩石惑星は、0.03mls から 1.50mls の間で、ほとんど太陽に影響を与えていません。
 しがしながら、共通重心という指標では、地球の質量でも、太陽から木星の距離よりも 320倍遠方にあれば、太陽を共通重心の周りに回すことができます。だから、惑星の太陽への影響力は太陽の中心から共通重心までの距離ではなく、共通重心をどのくらいの速度で揺り動かしているかになります。
 適当な用語がないので、「揺れ」と示しました。正確に表すと「惑星と太陽の共通重心を太陽が楕円軌道を描いて回り1秒間に動く速度」になります。太陽を最も揺り動かしているのは木星で、41.54ft/s(12.45m/s) です。100m走金メダリストの最高速度ぐらいです。天文学的にはほぼ止まっているといっていいでしょう。一方、木星は太陽からその1000倍強の速さで振り回されています。