三次元の円錐曲線軌道と極座標
(2020/12/25)
円錐曲線が、正円も楕円も放物線も双曲線もすべての同じ極座標式で表せることから、三次元の座標も個別対応することなく統一的に表せます。
近点距離を q、離心率を ε、共通重心を (0,0,0)、近点座標を (q,0,0) としたとき、XY 平面上の円錐曲線軌道は次の式で表せます。
なお、正円や楕円のように閉じた曲線では近点距離(q)と離心率(ε)と軌道長半径(a)は次の関係で表せます。
放物線や双曲線は閉じた曲線でないので、実体としての軌道長半径(a)はありませんが、理論上は、放物線の軌道長半径は無限大(∞)になり、双曲線の軌道長半径は負数になります。
まず、XY 平面上で、近点引数(ω)で回します。
次に、軌道傾角(ι)と昇交点角(Ω)を用いて三次元回転行列で回すことで、三次元の座標が求まります。
二次元の円錐曲線軌道と極座標
(2020/12/24)
正円、楕円、放物線、双曲線を総称して円錐曲線といいます。円錐を平面で切ったときの切り口が、左で示した四つの曲線のうちどれかになります。底面と並行に切ると、正円、側面と並行に切ると放物線になります。それ以外で、閉じた曲線になるのが楕円で、開いた曲線になるのが双曲線です。また、それぞれの形状を表すときに離心率(ε)という指標を用います。
軌道長半径を a、近点距離を q とするとき、それらには次の関係が成り立ちます。
離心率(ε)が 0 のときは軌道長半径(a)と近点距離(q)が等しくなり正円です。離心率(ε)が 0 より大きく、1 より小さいときは、軌道長半径(a)と近点距離(q)が異なり、楕円になります。離心率(ε)が 1 のときは、左辺が 0 になり、この式は成り立たないので、曲線は閉じず、軌道長半径も存在しません。この状態が放物線です。次に離心率(ε)が 1 を超えると、軌道長半径が負数になってしまいます。この場合も曲線は閉じず、軌道長半径も仮想的な値になります。この状態が双曲線です。
さて、今まで求めた各曲線軌道の極座標形式を紹介します。
放物線軌道
離心率(ε)は 1 であることから式を置き換えます。
二次元の双曲線軌道と極座標
(2020/12/24)
前回、放物線を極座標で表したのに続いて、双曲線も極座標で表します。近点距離を q、離心率を ε、共通重心を (0, 0) として、空焦点を X 軸上に置くと次のような式になります。
- 共通重心:
- 空焦点:
- 軌道:
空焦点座標に分数が含まれるのは扱いづらいので、仮想軌道長半径(a)を定義します。
すると、双曲線軌道の式は次のように表されます。
さて、極座標に変換します。
これって、楕円軌道の距離(r)と全く同じ式です。そして、仮想軌道長半径(a)を近点距離(q)で表してみます。
- 軌道位置:
ところで、離心率(ε)が 1 の時はどうなるでしょう?
これって、放物線軌道の位置と全く同じ式です。となると、極座標では、楕円軌道も放物線軌道も双曲線軌道も全く同じ式で表せることになります。
二次元の放物線軌道と極座標
(2020/12/24)
極座標を使うことで楕円軌道における位置、速度、速度ベクトル、経過時間、移動距離がすべて、偏角(θ)によって表せたので、放物線も極座標を扱うことにします。
まず、天体の軌道における放物線を軽くおさらいします。共通重心を (0, 0)、近点距離を q、近点座標を (q, 0) とすると、放物線の準線は次の式で表されます。なお、放物線は閉じた曲線にならないので、実体としての軌道長半径は存在しません。
- 準線:
放物線上の天体位置 (x, y) から、共通重心 (0, 0) までの距離と、準線までの最短距離とは等しくなるので次の式で表されます。
- 放物線軌道:
さて、この式を極座標で表します。
- 軌道位置:
楕円軌道と三次元座標のまとめ
(2020/12/20)
前回*1、軌道位置、経過時間、軌道速度、軌道速度ベクトル、移動距離を求めました。このなかで、軌道位置と軌道速度ベクトルは三次元の指標で表す必要があります。前提として軌道長半径を a、離心率を ε、公転周期をP で表します。
軌道位置
近点引数(ω)、軌道傾角(ι)、昇交点角(Ω)がすべて 0 のとき、三次元の点(x,y,z) は次のように表されます。
近点引数(ω)が 0 以外のとき、本来なら回転行列を使いますが、近点引数(ω)による回転は、同一平面上で同一原点の回転なので、単純に偏角(θ)に近点引数(ω)を加えた式で表せます。ここで、注意が必要なのは、距離(r)に含まれる偏角(θ)は回転対象外だということです。
軌道傾角(ι)と昇交点角(Ω)が 0 以外のときは三次元回転行列を使って計算します。
軌道速度
近点引数(ω)、軌道傾角(ι)、昇交点角(Ω)がすべて 0 のとき、三次元の速度(Δx,Δy,Δz) は次のように表されます。
近点引数(ω)が 0 以外のときは、XY平面上で回転させます。
一旦複雑になりましたが、部分的に三角関数の加法定理が当てはまるので、下記の式で簡潔に表せます。
軌道傾角(ι)と昇交点角(Ω)が 0 以外のときは三次元回転行列を使って計算します。軌道位置と同じ計算になるので、結果だけを示します。
離心率(ε)が係数になる部分は定数項になります。覚える必要はないと思いますが、参考のため計算結果を示します。
公転軸
最後に公転軸を示します。二次元のときは、公転軸は z 軸そのものなので、特に明示する必要はありません。三次元のときは、各楕円軌道の交差角を求めるときに便利です。公転軸は、z 軸の単位ベクトル (0,0,1) を軌道傾角(ι)と昇交点角(Ω)で回転させることで求めます。