(書庫) 質量の単位、トン (tonne)

(2020/10/02)

更新記事: 質量の単位、トン (tonne) - AstroZone
以下旧記事

(2020/01/19)

　質量には、光速のような絶対的な指標はありません。光速が距離において重要なのは通信の速度です。1光秒離れた場所と通信をする場合、往復2秒かかります。この遅延は絶対的で、いかなる物理法則もこの遅延を短くすることはできません。一方、質量にはそのようなものはありません。素粒子の質量を最小単位とする考えもありますが、光速と異なり、宇宙規模で素粒子の質量が大きな意味を持つこともありません。
　したがって、素直にSI基本単位*1と10の累乗で互換性がある単位を使います。質量のSI基本単位は kg です。これにSI接頭辞*2を付けると、g からの接頭辞になります。地球の質量は 5.9736×10²⁷g になり、これは、SI接頭辞に最大の単位である Y(ヨタ:Yotta)を使っても 5973.6Yg になり、地球よりもはるかに大きい巨大ガス惑星の質量を表すには力不足です。少しでも10の累乗を減らすために、t を使います。これであれば、地球は 5.9736Zt となり、巨大ガス惑星のために Yt を使うことができます。厳密にいうと、t にSI接頭辞を付けることは認められていませんが、SI単位系と10の累乗で互換性のある表現形は他にありません。

	単位	読み	天体	質量
10³	kt	キロトン	(Titanic)	46.328kt	豪華客船(*1)
10⁶	Mt	メガトン	Itokawa	35.10Mt	ハヤブサの目的地
10⁹	Gt	ギガトン	Ryugu	0.450Gt	ハヤブサ2の目的地
10¹²	Tt	テラトン	Phobos	10.659735Tt	火星の衛星
10¹⁵	Pt	ペタトン	Juno	28.6Pt	小惑星
10¹⁸	Et	エクサトン	月	73.5Et
10²¹	Zt	ゼタトン	地球	5.8726Zt
10²⁴	Yt	ヨタトン	木星	1.8986Yt

(*1) 船舶のトン数は必ずしも船の質量を表したものではないが、目安として紹介

*1:wikipedia:SI基本単位

*2:wikipedia:SI接頭辞