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太陽系の領域 - 小惑星帯

(2021/02/21)
 火星軌道と木星軌道の間には小惑星帯があります。太陽からの距離が211ミリ光時(mlh)から721ミリ光時の間にあります。平衡温度では226ケルビン(K)以下、122ケルビン以上です。この領域にある小惑星は、主にC型・S型・M型に分けられます。Cは炭素化合物、Sはケイ素化合物、Mは金属を表します。この領域でも、氷が地殻の主成分になることはありません。したがって、水は気体となり拡散します。

  • Gm: ギガメートル (giga metre): 106 km
    • mlh: ミリ光時 (milli light hour): 1.0792528488×106 km
道長半径 離心率 近点引数 軌道傾角 昇交点角 周期 温度
a: Gm (mlh) ε ω: ° i: ° Ω:° P: Jy T: K
火星 227.939 (211.201) 0.09342 286.7052 1.8496 49.7048 1.881 226
Vesta 353.350 (327.403) 0.08900 149.8400 7.1300 103.9100 3.639
Ceres 414.237 (383.818) 0.07600 73.6000 10.5940 80.3060 4.610
Paras 414.685 (384.234) 0.23100 310.1500 34.8400 173.1300 4.620
Hygiea 469.968 (435.456) 0.11246 312.3152 3.8316 283.2022 5.560
木星 778.298 (721.145) 0.04853 273.9792 1.3022 100.6584 11.862 122
  • Vest, Ceres, Paras, Hygiea は一般的にそれぞれベスタ、ケレス、パラス、ヒギエアと読まれます。

 小惑星帯では、多くの小惑星が入り組んだ軌道を持っています。したがって、太陽からの距離による順番が常に入れ替わっています。近点位置には四角の目印をつけているので、X軸正方向からみて反時計回りに、近点位置が、木星、Paras、Ceres、Hygiea、Vesta、火星の順番になります。

  • Mm: メガメートル (mega metre): 103 km
    • μlh: マイクロ光時 (micro light hour): 1.0792528488×103 km
  • Et: エクサトン (exa tonne): 1018 t, 1024 g
直径: Mm (μlh) 質量: Et
3.476 (3.221) 73.49
Vesta 0.525 (0.486) × 0.486 (0.434) 0.262
Ceres 0.939 (0.870) 0.950
Paras 0.545 (0.505) × 0.500 (0.463) 0.211
Hygiea 0.407 (0.377) 0.089

 左側から、月、Vesta、Ceres、Paras、Higea になります。Ceres は探査機による球状であることが確かめられ、準惑星として扱われます。Vesta は、質量が十分にあり、金属コアがあるにも関わらず、過去に巨大衝突が起きたのか、球状ではありません。Paras も望遠鏡による観測で球状でないと考えられています。Hygiea は球状の可能性が高く、準惑星の可能性を残しています。

太陽系の領域 - 岩石惑星

(2021/02/14)

 太陽から221ミリ光時(mlh)、火星までの軌道になるのが岩石惑星領域です。この領域は平衡温度として226ケルビン(K)以上の温度があります。水の3重点である273.15ケルビンよりは低いですが、真空に近い状態では、226ケルビンでも氷の状態になることはできません。したがって、この領域にある天体に水より凝固点が低い物質はほとんど含まれず、おもにケイ素化合物と鉄が主成分になります。この領域には、水星、金星、地球、月、火星という五個の球状天体と数十キロメートル未満の小天体が含まれます。

  • Gm: ギガメートル (giga metre): 106 km
    • mlh: ミリ光時 (milli light hour): 1.0792528488×106 km
道長半径 離心率 近点角 軌道傾角 昇交点角 周期 温度
a: Gm (mlh) ε ω + Ω: ° i: ° Ω:° P: Jy T: K
水星 57.909 (53.657) 0.25064 77.7518 7.0053 48.5563 0.241 448
金星 108.209 (100.263) 0.00676 131.8301 3.3949 76.8511 0.615 328
地球 149.598 (138.612) 0.01670 103.2641 - - 1.000 279
火星 227.939 (211.201) 0.09342 336.4100 1.8496 49.7048 1.881 226

※近点角(近日点黄経) について注記あり、軌道要素*1を参照
 内側から、水星、金星、地球、火星の軌道です。四角い印が各惑星の近日点で、進行方向はすべて反時計回りです。

  • Mm: メガメートル (mega metre): 103 km
    • μlh: マイクロ光時 (micro light hour): 1.0792528488×103 km
  • Zt: ゼタトン (zetta tonne): 1021 t, 1027 g
直径: Mm (μlh) 質量: Zt
水星 4.880 (4.522) 0.330
金星 12.104 (11.215) 4.868
地球 12.756 (11.819) 5.974
3.476 (3.221) 0.073
火星 6.788 (6.290) 0.642

 左側から、水星、金星、地球、月、火星になります。

太陽系の領域 - 太陽

(2021/02/13)
 今回から太陽系の領域について書きます。太陽そのものも興味深い天体なのですが、直接、人類が到達することは不可能なので、人類が間接的に恩恵を受けている温度について書きます。

  • Gm: ギガメートル (giga metre): 106 km
    • mlh: ミリ光時 (milli light hour): 1.0792528488×106 km
  • Mm: メガメートル (mega metre): 103 km
    • μlh: マイクロ光時 (micro light hour): 1.0792528488×103 km
  • セルシウス度: 0°C = 273.15 K
  • 太陽表面温度(T0): 5778 K
  • 太陽半径(R0): 695.5 Mm (644.4 μlh)

 太陽からの距離を a、その場所にある物質の反射能を A とすると、物質の温度(T)は次の式で表せます。

  •  T=(\frac{R_0}{a})^\frac{1}{2}(\frac{1-A}{4})^\frac{1}{4} T_0

 光をすべて取り入れる反射能(A) が 0 である黒体物質を対象にすると、式はより単純になります。

  •  T=\sqrt{\frac{R_0}{2a}}T_0

 各惑星の軌道上にある黒体物質の温度を示します。

半径: Mm (μlh) 温度: (K)
太陽 695.500 (644.400) 5,778
距離: Gm (mlh) 温度: (K)
水星 57.909 (53.657) 447.8
金星 108.208 (100.263) 327.6
地球 149.598 (138.612) 278.6
火星 227.939 (211.201) 225.7
木星 778.278 (721.145) 122.1
土星 1,429.394 (1,324.429) 90.12
天王星 2,875.039 (2,663.916) 63.44
海王星 4,504.450 (4,173.675) 50.77

温度の単位、ケルビン(K)

(2021/02/13)
 宇宙空間における温度の単位は、絶対零度を起点とするケルビン度のほうがよいでしょう。ケルビン度は、日常的に使われるセルシウス度に、273.15 を加えたものです。下記に、ケルビン度(K)とセルシウス度(°C)を使って、1気圧における各物質の凝固点を示します。

化学式 K °C 名称
He 4.22 -268.93 ヘリウム
H2 14.01 -259.14 水素
N2 63.15 -210.0 窒素
CO 68 -201 一酸化炭素
CH4 91 -182.5 メタン
CO2 194.7 -78.5 二酸化炭素
NH3 195 -77.73 アンモニア
H2O 273.15 0

 これらの物質は宇宙に大量にあり、各天体の大気の主成分となります。極寒の場所にある彗星の場合、窒素よりも凝固点の高い物質は固体となり、そのまま天体の主成分となります。このうちで、ヘリウムと二酸化炭素は、1気圧のもとでは液体になることはなく、気体からそのまま固体になります。真空に近い宇宙空間では、各物質とも液体の状態にならず、そのまま気体と固体の状態を行き来します。状態が変わるときの温度を昇華点と言います。この場合の昇華点は、1気圧での凝固点よりも低い温度になります。

自転軸と惑星間の相互作用

(2021/01/24)

 惑星の自転軸の傾きを、惑星間の相互作用で解き明かす研究が発表されました。私は、金星の逆行自転も天王星の横転自転もジャイアンインパクトという偶発的な事象に原因を求めるのは理論的な怠慢だと思っているので、このように地道に力学的シミュレーションで解き明かす研究を待ち望んでいました。このブログでも自転というものを力学的に扱っていきたいと思っています。